2014年4月25日(金)
経済産業省発行の『平成26年度液化石油ガス販売事業者等保安対策指針』に基づき研修会を行いました。
1.自主保安活動を含めた保安対策の着実な実施
『液石法』は、LPガス販売事業者及び保安機関に対して、一般消費者等の保安を確保するために種々の義務を課しており、LPガスの保安行政はこれらの保安規制を中心として行われている。液石法による保安規制は平成8年の改正により、規制の合理化を図る中でより実効性が高く、自主保安活動の推進につながる規制とすることを基本としている。
このため、LPガス販売事業者及び保安機関は、液石法の下で、法令は遵守することはもとより、自主保安活動を着実に実施していくことが求められている。
2.事故の発生状況と法令順守の状況
平成25年に於いては、LPガス事故の発生件数は206件であり、近年3年の平均230件を下回り4年ぶりに減少した。
3.保安対策指針の策定
経産省は、
(1)法令の確実な遵守と適切な保安対策を実施すること。
(2)時代や社会の要請に応じて自主保安の高度化を一層推進すること。
(3)LPガス業界団体が表明した事故対策等保安対策を、具体的かつ確実に実施すること。
(4)今後の自然災害の発生に備え、万全の保安対策を実施すること。
を求めこの指針を策定する。
1. 法令遵守の徹底
2. 組織内のリスク管理の徹底及び自主保安活動の推進
3. 事故防止対策
(1)CO中毒事故の防止対策
(2)一般消費者に起因する事故の防止対策
(3)LPガス販売事業者及び保安機関等に起因する事故の防止対策
4. 自然災害対策
1.法令遵守の徹底
(1)経営者の保安確保へ向けたコミットメント等
(2)LPガス販売事業者及び保安機関の義務の再確認
①販売事業者は、保安業務を委託している場合でも、実施状況について確実に確認を行う事。
②保安機関は、保安業務の結果を委託元のLPガス販売事業者に通知すること。
(3)保安教育の確実な実施
①保安教育を的確に実施する体制を整備するとともに、年間保安教育計画を策定し、保安教育が従業員に対して確実に実施されるようにすること。
②保安教育の実施に当たっては、容器交換時や設備工事・修理などの再の標準作業マニュアルを作成するなど、作業手順の再確認及び徹底並びに定められた作業を的確に実施できる技術力の向上を図るよう指導すること。
③LPガス販売事業者は、グループ内事業者に対する保安教育を主導すること。
④経産省が実施する地域保安指導事業等、各地で実施される保安講習会に積極的に参加すること。
(4)販売所・営業所単位での保安確保
(5)事業譲渡時の保安業務の確実な実施
(6)バルク貯槽等の20年検査に向けた体制準備
2. 組織内のリスク管理の徹底及び自主保安活動の推進
(1)組織内のリスク管理の徹底
現場に応じて異なるリスクを把握・認識し、適切な対策・改善を継続して実施する「リスクマネジメント」の考え方を取り入れ、リスク管理の徹底を図ること。その際、自主保安活動チェックシートを活用した自主保安活動の自己診断を行うことにより、自らの自主保安の状況を客観的に認識し、保安レベルの向上に活用すること。
(2)集中監視システムの導入などによる自主保安活動の推進
3. 事故防止対策
(1)CO中毒事故の防止対策
①業務用厨房におけるCO中毒事故の防止対策
A.業務用厨房の関係者に対する周知
(ア)換気が十分に行われていないと不完全燃焼を起こしCOが発生するメカニズムや業務用厨房において事故が発生した場合、従業員のみならず来店者をも巻き込むこと等について説明し、換気や清掃・メンテナンスの重要性について理解を促すこと。
・事故の原因は、換気扇・排気設備の未使用及び業務用換気警報器等が設置されていなかったことによる。
(イ)定期消費設備調査等の機会に、機器の設置環境や使用状況を確認し、清掃、修理などの定期的なメンテナンスの必要性を働きかけること。
(ウ)ゆでめん器CO中毒事故の対象となったゆでめん器で、まだ対策がとられていないものを発見した場合は、対策を促すこと。
B.業務用換気警報器(換気センサー)・CO警報器の設置の促進
ホテル・旅館・学校に於いては、厨房だけでなくボイラーにおけるCO中毒事故が発生していることから、引き続き周知活動を通じて、注意喚起を継続的に実施すること。又、業務用換気警報器・CO警報器の設置の促進を継続的に実施すること。
住宅に於いては、長期間使用していない機器を使用するときには排気筒に異常がないかを確認した上で使用するよう、さまざまな機会を通して一般消費者に注意喚起すること。
不完全燃焼防止装置が付いていない古いガス機器については、製造事業者等による点検を受けるよう、定期消費設備調査の機会を通じて一般消費者に注意喚起すること。
(2)一般消費者に起因する事故の防止対策
①一般消費者が正しいLPガス及び関連機器の取扱方法を理解し、実行できるようにするための工夫を図りながら周知活動を実施すること。
②安全装置付き風呂釜、Siセンサーコンロ等の安全な消費機器の普及を促進すること。
③ガス機器が接続されていないガス栓のつまみを間違って開けてしまう事を防止するため、ガス栓のつまみ部分に被せる「ガス栓カバー」の設置を促進すること。
④LPガスの漏洩に起因する事故の防止には、ガス警報器の設置が効果的であることから、ガス警報器の設置の促進及び期限管理に取り組むこと。
⑤消費設備調査の推進
消費設備調査を拒否する一般消費者に対しては、事故事例の紹介のほか、集合住宅には管理者の理解を得ること等、一般消費者の理解を得られるよう工夫をこらして実施すること。
不在連絡が続く一般消費者に対しては、十分な書面での説明、数回にわたる継続的な訪問等十分な手続きを踏んだ上で、一時的な閉栓に踏み切る事も参考となる。
⑥リコール対象品等への対応
⑦長期使用製品安全点検制度への協力
(3)LPガス販売事業者及び保安機関等に起因する事故の防止対策
①埋設管は、腐食しにくいポリエチレン管(PE管)等への取替を促進すること。
②調整器、マイコンメーター、高圧ホース、警報器等については、長期使用に係る漏洩事故が発生していることから、これらの機器の期限管理を徹底し、期限内に確実に交換すること。
③バルク供給での事故事例、安全弁の交換作業マニュアル等を活用し作業手順の確認を十分に行い、事故防止の徹底を図ること。
(4)その他
質量販売に係る事故防止対策
積雪又は除雪ミスによる事故防止対策
4. 自然災害対策
(1)災害発生時に於ける保安確保のための具体的な取組について、着実に実行すること。
(2)仮設住宅におけるLPガスの供給に係る点検調査などの保安業務の確実な実施、事故防止の注意喚起については特に留意して取り組むこと。
1.事故の動向
平成25年は206件(死傷者55人)と4年ぶりに減少し、死傷者数は昭和42年以降で最少となった。
業務用施設等でCO中毒事故が発生した場合、その利用者等を含め多数の被害を生じる恐れがある。
埋設管を誤って損傷してしまい、その漏洩をとめようとした作業員が掘削した穴の中で酸素欠乏状態となり死亡する事故があった。
2.分析のまとめ
平成25年度におけるLPガス事故の発生件数は206件と4年ぶりに減少した。
事故のおよそ35%は、LPガス販売事業者などの法令違反を伴うものであった。
平成25年立入検査の実施状況
本省では、4月から12月迄の間に対象とした17社の立入検査を完了した。
その結果、保安機関1社に於いて重大な法令違反(禁止されている保安業務の再委託を実施)が確認されたため文書による厳重注意を行った。又、軽微な不備が確認された25件の事業者に対し口頭注意を行った。
立入とは別に、書業務連絡のまとめの経験証明による設備士の取得については厳重注意、認可数を超えて保安点検を実施したものに口頭注意を行った。
産業保安監督部では、4月から12月迄の間に107社(126事業所)の立入検査を完了した。
その結果、重大な法令違反(認可数を超えた保安業務を実施、点検調査の未実施、結果の帳簿への未記載、結果の販売所への未通知)が確認された為、行政指導(厳重注意又は改善指示)を行った。又、軽微な不備が確認された119件の事業者に対し口頭又は文書による注意を行った。
平成26年立入検査の重点
平成26年立入検査に於いては、過去に行われた立入検査で確認された法令違反等を踏まえ、引き続き、次に掲げる事項を重点的に確認することとする。
① 保安業務に係る委託契約の内容
② 供給設備点検及び消費設備調査の実施状況
③ 液石法第14条第1項に基づく書面の交付状況
④ 液石法第16条に基づく貯蔵施設等に係る基準適合義務等の遵守状況
⑤ バルク貯槽の安全弁の交換作業の実施状況
⑥ 保安教育の実施状況
⑦ 保安業務を委託している場合の実施結果の確認等業務主任者が行う職務の実施状況
⑧ 液化石油ガス機器の経年管理状況
⑨ LPガス販売事業者等が備える帳簿への記載状況
⑩ 質量販売における基準の適合状況及び消費設備調査の実施状況